石橋 泰

“さんぽか”の願い

 いま、私たちはかつて経験をしたこともない高齢社会を迎え、さまざまな問題を抱えてしまいました。高齢社会は長寿社会でもありますが、それには健康という条件が付かなければ、人々が望む幸福な社会の実現にはなりえません。
 人間が幸福を感じる最大のポイントは、家族や仲間と親しく語らい、笑い、元気に活動することです。これらは、健康な身体と心が支えてくれるものですが、その基となるものは日常の暮らし方にあります。その中でも重要なファクターは、戸外に出て歩き行動することです。「歩く」ことこそ健康を生み出し、健康生活を維持し、健康長寿を実現するための「きほんのき」に他ならないと考えます。

 健康は歩くことにある――そうは言っても、歩くことが爽快で楽しくなければ継続されず効果が生まれてきません。では、爽快に歩くということはどういうことなのでしょうか。それは、早く、強く、長く、遠く、競って、ではなく、笑顔で、気楽に、軽やかに、ゆったり、仲間と語らい、道端の風物を愛でながら歩くことだと考えます。これこそが「散歩」の極意であると言えます。私たちはウォーキングというアクティブな感覚から脱して、悠々とした気分でさんぽ(散歩)を日常化し、健康長寿社会を実現させ、幸福で充実した生活を促進することを目指します。
 また、高齢化社会では加齢などによって歩行機能の衰えが原因となり、歩行はもとより戸外での行動から疎遠になり、地域でのコミニュケーションの機会が少なくなって行く傾向にあります。私たちはそうした方々が、歩くこと外に出ることが楽しくなるような、新しいウォーキングプログラムも取り入れ、全ての方々が「健康長寿文化」を享受していただけるような活動にも取り組みたいと考えています。

 そして、私たちは、日常生活に根を下ろした楽しいさんぽを進めることを「さんぽか」と名付けてみました。そのこころは、やみくもなウォーキングを「散歩化」することであり、楽しく歩いて身体も心もポカポカと温かくなることです。そんな「さんぽか」活動を日本中の街や郊外や田舎に広げていきたいと願っています。

 この願いと夢を育てるために、皆様のご協力とご支援をお願いいたします。

2022年6月

日本さんぽか協会 会長
桂川 保彦

プロフィール

2022年6月現在

  帝京平成大学地域医療学部医療スポーツ学科客員教授/帝京平成スポーツアカデミー運営委員長

略歴

  一般社団法人日本スポーツマンシップ協会副会長
  一般社団法人日本転倒予防学会監事
  元帝京平成大学健康医療スポーツ学部教授
 


一般社団法人日本さんぽか協会

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